レプラコーンズWakaがおすすめの映画を紹介する「ひねくれ映画評」。
第1回は『魔女がいっぱい 』です 。『チャーリーとチョコレート工場』と同じ、児童文学家 ロアルド・ダール原作の映画ですよ。

『魔女がいっぱい』
<おすすめ度>
魔女っぽさ★★★★★ 
童話っぽさ★★★★★  

昔ながらの「悪い魔女」全開!

 『魔女がいっぱい』はタイトル通り、たくさんの魔女が登場する映画です。
魔女は「子供が大っ嫌い!」。毎日毎日、いかにして子供をこの世から消してやろうか、と考えています。

 主人公の少年は、 そんな魔女に目をつけられてしまい、知り合いの居るホテルへと隠れます。

しかしそこは年に一度の魔女会議が行われる場所。少年は魔女に見つかりネズミに変えられてしまいます。そのうえ「踏みつぶしてしまえ!」と、追われるはめに…。魔女たち、容赦がありません。

 人生最大のピンチを迎えた少年は、ここからどうやって生き延びるのか…!? が見どころです。

ネズミ化シーン
人間がネズミにされるとき、いちいちブッ飛ぶ演出も楽しいです。

美しき魔女役 アン・ハサウェイがノリノリで楽しい。

さて、そんな容赦のない魔女の中でも一番の魔女「大魔女」役を演じるのが『プラダを着た悪魔』で主役を演じたアン・ハサウェイさん。

手足長い、プロポーション抜群、そして、ホテルに勝手に猫を連れてきてホテルマンを困らせる、魔女らしい魔女!

主人公に新薬「ネズミナール」(安直で良い!)を無理やり飲ませ、ネズミに変えてしまったり、部下の魔女に口答えされると謎の光線で消し炭にしたり、そのあと気分が良くなって浮遊しながらダンスもする。

悪い(&かわいい)やっちゃなー! な演技をノリノリでこなしています(浮遊ダンスは本人のアイデアだそう)。
本作は、そんな彼女の演技を見ているだけでも楽しいです。

■ そのうえ、魔女が「魔女魔女しい」!

そしてこの映画に出てくる魔女たちですが、昨今登場する魔女とは一線を画しています。

本作では「彼女たちにも理由があって悪いことをしていたのね」なんて 「生っちょろい」 感傷はまったく起こりません。子供が嫌いな理由も「とてもひどい臭いがする」からだそう。子供への仕打ちは

「子供を家畜に変えてしまい、飼われるまま一生を終えさせる…

なんて結構えげつないです。すごい!

そしてこれが魔女にとっての最高の娯楽なので、魔女と人間の歩み寄りなんてものは1ミリもありません。

さて、そんなコワ~い魔女ですが、見分け方がいくつかあります。みなさんもイザという時のために覚えておくといいでしょう。

<魔女の見分けかた 一例>

  • お菓子をくれる知らない人は、だいたい魔女。(特にバスの運転手が声をかけてきたら要注意。)
  • 手足にカギ爪があり、長い手袋をしている
  • 口もとをよく見ると「横に裂けた跡がある」
口の横にキリトリ線があります。

などなど。
…でも、3つめのやつはよく見たらバレバレなんじゃないかなあ…?

■大混乱の反撃シーンは必見!

 監督のロバート・ゼメキスはインタビューでこう言っています。”この映画の本質は、個性を受け入れ、自分らしくあることを認めることだ”と。

 その通り、はじめはネズミになって動揺していた主人公ですが、この状況を受け入れこう言います「何とかなる気がする」と。

全世界の子供をネズミに変えようとする、魔女の企みを知った主人公たち。彼らはネズミであることを活かしながら、魔女を倒す作戦を練り上げます。

 そんな子ども(ネズミ)と魔女の戦いは、見た目はファニーですが、その本質は「殺(と)るか殺られるか」の真剣勝負! 「反撃」シーンはこの映画屈指の大混乱が引き起こされるので、ぜひ観てほしい一場面です。


そのほか、主人公の仲間として現れるポッチャリ少年が、口のまわりにたっぷりチョコをつけて現れたり、ホテルの支配人さんが魔女の横暴に困惑しつつも、愛嬌たっぷりだったり、主人公のお婆さんが「おばあちゃんの知恵袋」バリに魔術に詳しかったり…。

 チャーミングでファニーな魅力たっぷりの本作。年明けもまだ上映しているところもあると思いますので、気になる方は映画館まで足を運んでみてはいかがでしょうか。


それにしても、「なんとかなる」って主人公の言葉、いいですね。まさか、2020年も年の瀬になって、ネズミからいいメッセージをもらうとは思っていませんでした。
自分も、だいたいのことは何とかなるかなーと思ってぼんやり生きております。

新年丑年、新ブログをよろしくお願いします

『魔女がいっぱい』 公式サイト 
2020年製作/104分/アメリカ
監督:ロバート・ゼメキス
CAST:大魔女役アン・ハサウェイ ほか