イフ 何たらら~♪ イン 何たらら~♪
フー 何たららッ!

ゴーストバスターズ♪(ここだけ歌える)

はい! この歌でおなじみの『ゴーストバスターズ アフターライフ』を見てきました。

本作は1980年代に大ヒットした名作『ゴーストバスターズ』シリーズの正当な続編『アフターライフ』ですが、
結論から言いますと…

とってもキュートで、た~のし~い! 良作でした。

お子さん、お孫さんがいる方でしたら、ぜひ子供たちを連れて行って観てほしい。そして連れて行ったことを後悔させない映画ですよ!

本コーナー【超!映画反省会】は、映画のネタバレを恐れず、いいところ悪いところも含めてレビューし、その映画の「描きたかったこと」を浮かび上がらせるコーナーです。


■ STORY 残された家と死んだ祖父のナゾ

ある荒涼とした田舎町で、ナゾの火球に追われる男が一人。

車を飛ばし、何とかやり過ごしたかと思ったものの、姿の見えぬ敵に家へ入られ、お化け探査機の電波が届かない背後からの攻撃(?)で屠られてしまう!

こんな攻撃、対戦ゲームなら「反則だ!」と怒られるような形である。

さて、そんな田舎のボロ家に越してきたのが、主人公フィービーと兄・母の3人家族。
3人は借金で家を追い出され、
行く当てもなく祖父の家へとやってきたのだ。

ただ、祖父は母とは連絡を一切取らず、一人孤独に何をやっていたのかわからずじまい。そのため母は「自分は捨てられた」と思っているのだが…。

そのとき、まるでお化け屋敷のようなボロ家を、突然の地震が襲う。
机に隠れたフィービーが「幽霊探査機」を見つけるところから、物語は動き出します。

祖父の死因は? そしてボロ屋敷に残された謎の機械と地震には、なにか関係があるのでしょうか…?

● 一応トレーラーおいときますね●


■ 注目は、とってもかわいい理系女子!

マッケナ・グレイス演じる主人公・フィービー。

彼女は伝わりづらい変なジョークを言ったり、サイエンスにしか興味を示さず、家で実験をして部屋を破壊しかけたり、
そしてその性格から友達と上手くなじめなかったり…と、
天才でありながら、周りから疎外感を感じている理系女子。

でも、理解者が現れると、お化けのいる炭鉱へ出かけたり、
祖父の残した謎の機械で実験(という危険な試し打ちを喜々としてやるような、やんちゃな子。

そんな一面が、とてもかわいい。

たれ目で、ズレた眼鏡をくいっと上げるしぐさキュート
彼女がアップになって演技をしているだけで、なんだか絵になるのです。

この後、ブッ放します。

監督が12歳女の子が納屋でプロトンパック(背負う武器のことね)を見つけるシーンが思い浮かん」で、この物語が進み始めた…
と言っていますが、それが実にしっくり来る役者さんです。

そして何よりこのキャラのすごいところは、
祖父の残した謎のお化け探査機や、あの背負う大きな掃除機の様な機械を「見ただけで直せる」という手腕!

正直お前は「キテレツ大百科」か!?(古い) と思うほどの有能さ。

↑教室に危険物を持ってきます

そんな彼女の能力を、母親が全く気に留めていないのは、
祖父の影響で「科学アレルギー」があるため…と言われましたが、
それ以上に、ネグレクt… なのでは…?

言い過ぎかもしれませんが、それくらい有能。

早く! 誰かこの子(キテレツ)を保護して!

…と思うことしかりです。


あと、兄役であるフィン・ウルフハードのキャスティングもすごい。

彼も、弱さ・脆さを感じる表情や存在感のある役者さんで、
ものすごい画面映えする役者さん。

この二人がいるだけで、何かが起きそう感がハンパないのです。

何かが起きる予感…


■ ガジェットは、あればあるほど楽しいよね!

フィービーの祖父は、実はかつての「ゴーストバスターズ」の一人・エゴンスペンクラー博士だったのだ!(ばばーん!)

見てるとすぐにわかると思うけどね。

…で、娘たちは彼の残した「プロトンパック」ゴースト退治専用車「エクト1」で大活躍を繰り広げます。
中でも、彼らが車で幽霊を追跡するシーンが、小学生必見のガジェット的楽しさなんです!

まず、後ろのドアがガシャーンと開き!

後部座席が横に、にゅっとスライド!

座ったままゴーストをレーザーで捕らえることができるのだ!

さらに、ラジコンの「幽霊捕獲機」のアクションもみごと!
車体下部からラジコンが飛び出し、捕らえたゴーストを回収!
再び車体に戻るのだ。

うなりを上げて走ります。

ゴースト追跡シーンでは、レーザーで町を破壊したり、ゴーストが街を破壊したりと、大盤振る舞いなのもいいね。

そして、そのせいで小学生が牢屋にぶち込まれるのも笑えます。


■ どこかなつかしい演出が嬉しい

この映画、80年代の作品をオマージュしているためか、そこここに「グーニーズ」や「インディージョーンズ」的な雰囲気を感じます。

子供達が謎の遺跡に入っていくシーン、
廃工場でゴーストと出会うシーン、
そして兄が手に入れた車で麦畑を爆走するシーン…。

子供ながらの「独立」や「自由」を描いているから、大人の中の子供心にグッとくるのでしょう。

この映画はそんなシーンがちりばめられています。

麦畑を爆走。すげえ良い表情。


■ ユーモアのあるゴーストは健在

昨今の映画ではCGはあたりまえに使われている技術。…ですが、
本映画はすべてをCGに依らず、過去の技術も使いながらの制作になっていたようです。

アニマトロニクス(機械で動きをつける人形)でヒョウのモンスターを作ったり、粘土で立体化したゴーストからCGを作ったり
かつての技術で過去作のユーモアを甦らせています。

特に人気の「ミニ・マシュマロマン」の描写は秀逸で、
かわいいけども、お互いをバーナーで炙ったり、ミキサーにかけたり…
妙なチャーミングさで「コワ可愛い」ゴーストが出来上がっています。

…と、映画の各シーンのお話は語りつくせないので、そろそろテーマの話に入りましょう。


■ 人が人を「理解」する物語

「おじいちゃんはすごい科学者だったんだよ…。なんで教えてくれなかったの…?」

声を荒らげるわけでもなく、そっと涙を浮かべるフィービー。

映画後半、亡き祖父をけなす母に対し
願うように言うこのセリフは、私の心をグッとつかみました。

母が忌み嫌う祖父と、母が認めないフィービー自身とを重ね合わせた彼女。
つまり言いたいのは

「なんでわかってくれないの?
 何でわかってあげないの?」
という切実な願いです。

たびたび、監督やキャストがインタビューで「アウトサイダー」という言葉を使って、本作および過去の『ゴーストバスターズ』について触れています。

特に1984年の第1作は、「アウトサイダー」な映画でした。

(頭のおかしい)科学者ら3人が、ゴースト退治の会社を設立。
よくわからない実験をして、街に迷惑をかけるので、煙たがる人がけっこういる…。
今見ると、かなりヤバい奴らです。

そんな 彼らの理解者は、だからこそ、仲間たちだけでした。

一方、今回の主人公たちはどうでしょうか。

・頭はいいが、コミュニケーション下手で浮いている主人公
・その友達「ポッドキャスト(役名ですよ)」は、なんでも実況・録音して配信する変人です。

↑いい顔・ポッドキャスト

・主人公の兄は母親にべったりながらも自立をしたい年頃。
・主人公の母親も、シングルマザーで借金持ち。頼れるものもいない。

…そしてサマースクールの教師・グルーパーソンも、自分の研究を理解されず、生徒には毎日ホラー映画(チャイルドプレイ)を見せる変人だ。

↑まとも風に装っているがこいつが一番ヤバい

彼らはみんな、はじめは疎外感を感じている
「誰かに理解されたい」人々です。

そして互いが互いを
「理解する」「理解してもらう」ことで、彼らが生き生きと活動を始め
物語が大きく動く、原動力となっていくのです。


■ 理解することで生まれる、物語のカタルシス

物語の途中、フィービーの兄は、バイトを始め、車を修理して自由な活動を始めます。

フィービーと、ポッドキャストは変人?同志で気が合ったんでしょう。
彼らが認め合うことで、一緒に町を調べる仲間になります。

二人で炭鉱や廃工場へと向かうシーンは、可愛くってとても好きです。

ぼうけんがはじまる…。

そして問題の母親・キャリーですが、彼女が祖父を理解するシーンはとても重要な場面です。

祖父の研究室に残された写真を見つけたキャリーは、
祖父が彼女を大事に思い見守っていたこと、
そして、悪霊と独り戦っていたことを悟ります。

個人的に、祖父が残したメモの「そばかすが何パーセント増えた」とか「地震が何回あったので心配」とか、見守るにしても視点が変なところがツボです。

※また、このときの見えない幽霊(父)が、彼女を導いて写真を見せる流れがとても秀逸です。

そして父へのわだかまりが解けかけたとき、最後の戦いがスタートします。


■ 祖父が行っていたのは「悪霊復活の阻止」

祖父は、かつてニューヨークに現れた「ゴーザ」を追い、この地・サマーヴィルで復活を図っているということを突き止めました。
彼は、かつての仲間たち、そして娘や孫にもそれを知らせずに、独りで戦っていたのでした。

そしてこの土地を襲う頻発地震は、彼の作った装置でゴーザが目覚めようとするのを食い止めていたせいだったのです。

しかし、ゴーザの力が強まり、ついにその装置が破壊され、復活を許してしまうのです…。


■ 最後は親子かめはめ波!

ついに現れた悪霊ゴーザに対し、孫娘は「おじいちゃんの立てた作戦」で挑みます。

自宅の前まで悪霊をひきつけ、巨大捕獲箱で捕まえる。親子3代が力を合わせて地球を救うこの流れ。
みんなが力を合わせるからこそ「おじいちゃんの作戦」でなければいけませんでした。

この展開にはグッと来ざるを得ません。

特に、フィービーが放つ銃を、守護霊となった祖父が後ろから支える「親子かめはめ波」シーンは名場面です。

…祖父の霊がチェスを始めた段階で、このシーンの絵面が想像できたことも否めませんが…わかっていてもグッときちゃうのが人間というもの。

だって、あれだけ憧れてたおじいちゃんが、
孫娘のために、最後に駆けつけてくれるんですよ!

これはねー、けっこうキますよ。

あと気づいたのですが、母親が踏んでいたペダル。祖父の時にはうまく機能せずに作戦が失敗してしまいました。

それを孫が直したのか、きちんとペダルが機能したため「フルパワーだ!」という掛け声と共に(※ありません)悪霊を退治できたのでした。

そのあたりの前振りも、とても考えられているシナリオでしたね。

「フルパワーだ!」(そんなシーンはない)


■ ファンサービス無限大

そしてネタバレになりますが、
祖父と疎遠になっていたかつての仲間たちも大集合して最後の決戦を盛り上げます。

80年代のビミョーにローテンションの掛け合いが、きっとファンにはたまらないでしょう

かつての仲間たちも祖父を「理解」したことで、家族、そして仲間との絆を確かめた祖父の霊は、安心して天国へと旅立っていくのでした…。


■ 最後に反省点…それはゴースト少ない問題!

この映画、実際見るとわかりますが、ほとんどの尺を家族やその周辺の出来事にさいているため、

過去作のような豊富なゴースト描写を期待すると肩透かしを食らうかも。

「あんまりバスターしてないじゃん!」
…と言われたら、
「そうだね。」
と、返すしかないもどかしさ。

そうだね……。

でもね、この映画はストーリー、役者、そして絵作りが抜群にバランスの良い作品なので、いろんな人が食わず嫌いせずに見てほしいなぁ…と思っている作品です。

まだ見ていない人は、ぜひぜひ、劇場で見れるうちに!
すでに見た人には布教をお願いしたい作品です。

以上、超!映画反省会でした。
次回もよろしくね。

『ゴーストバスターズ アフターライフ』公式サイト 
2021年製作/124分/PG12/アメリカ
原題:Ghostbusters: Afterlife
監督:ジェイソン・ライトマン
CAST:フィービー役:マッケナ・グレイス、トレヴァー役:フィン・ウルフハード、グルーバーソン役:ポール・ラッド、キャリー役:キャリー・クーン ほか

※使用画像は、公式サイトIMDB、から引用しています。