ムチャクチャでグロテスクで、カッコよくて可愛くて、ちょっとお茶目で少し悲しい…。
今回はそんなDCヒーローコミック映画「スーサイドスクワッド」をレビュー! 映画好きなら食わず嫌いせずに見て欲しい……
Wakaの大大大プッシュ映画のご紹介です!!!
レビューの内容はこんな感じ!!
- 概要 自殺者部隊をご紹介!
- アメコミ初心者にも安心!? 先の読めないドキドキ感
- サメにネズミにカワウソに!? 魅力的なキャラが目白押し!
- 「死ぬほど」欲しい! 自由ってこういうことだろ!
- 「カイジュー」もでてくるよ♪
- 無視できない、そこに「ある」という重み。
それでは、レビュースタート!
<いちおう予告編>
■概要 自殺者部隊をご紹介!
「スーサイドスクワッド(自殺者部隊)」はアメコミ(DCコミック)の悪役達が自由を餌に組織されたチームです。
メンバーは、倫理観が欠如していたり、殺人狂だったり、バカだったり、なんだかおかしかたり、…という(主にヤバい方向に)ひと癖もふた癖もあるやつばかり!
そんな彼らが徒党を組んで無謀な作戦に挑みます。
今回の作戦は、独裁国家でクーデターが起き、そこで作られている「超兵器」が軍事政権の手に渡る前に破壊する、というミッション。
司令部からの意訳としましては:
「この国は島国なので上陸が難しいうえに見つかったら蜂の巣だ!
もちろん、クーデターの首謀者もキチガイだから捕まったら蜂の巣だよ!
あと、君たちの首に取り出し不能の爆破装置を仕掛けたから、
どこかに逃げたり命令違反を行ったら、
その場で「BOM!」って首が飛ぶことになるよ(物理的に)
それじゃあ、がんばってね!」
…という、身もふたもないほど命の安い、非常に分かりやすい状況から物語はスタートします。
■アメコミ初心者にも安心!? 先の読めないドキドキ感
そして、アメコミ初心者の方もご安心を。
出演している彼らは、一部を除き非常にマイナーなキャラばかり。ですので、どの段階でキャラが死ぬか、生きのこるかなんてのは、アメコミ上級者でもきっと判別不能でしょう。
とにかく「こいつら全員生きてかえって来れるのかよ!?」というハラハラドキドキは止まりません。
監督であるジェームズ・ガンも「この映画はヒーロー映画の皮をかぶった戦争映画だ」と言っている通り、
バトルシーンは爆発に次ぐ爆発!
敵国との乱戦ではあっさり死んじゃうキャラもいて、
まさに戦争映画さながら!
迫力満点 の映像を、ぜひ劇場で見てほしいところです。
■ サメにネズミにカワウソに!? 魅力的なキャラが目白押し!
はい! ここからはアメコミ映画に欠かせないキャラクターコーナーです。
個性豊かな悪党集団、今回は総勢14名(だったかな)のヴィラン(悪役)が登場するのですが…
まず語っておきたいのがこの…カワウソ男・ヴィーゼル。
…!?
(誰だよ!)※心の声※
彼(?)は子供を27人食い殺したという容疑で捕まったカワウソっぽい人。
もちろん、言葉はしゃべれません。
…なので、もしかしたら免罪なんじゃ…というか作戦が理解できるのか、とか、いろいろ疑問に思うところがある、ミステリーなおいしいキャラ。
まあ、開始数分で大海に沈むんですけどね!
<<ギニャー!!!
他、個人的に気になっていたブーメランがうまいキャプテン・ブーメランさんなどもいらっしゃいますが…
【キャプテンブーメラン】
特徴:ブーメランがうまい。
今回はWakaが独断と偏見で選ぶナイスな主要メンバーをご紹介します!
<これが悪党集団だ! 独断と偏見のキャラクター紹介>
ハーレクイン(マーゴットロビー)
言わずと知れた人気キャラクター。特攻したり、恋したり、監禁されたり脱出したりと、破天荒に、自由に、そしてちょっとイっちゃってる活躍を見せてくれます。何より今回は衣装がいい感じ!
キング・シャーク(声:シルベスタースタローン)
ハワイのサメの神様の息子…らしい。お腹がすくと人を頭からバリバリと食べちゃうという茶目っ気たっぷりな中肉中背。
今回は「ともだち」が欲しいと参加して「オレ、トモダチ たべない、約束!」と、きちんと約束してくれるのできっと大丈夫だ!
ちなみに、彼の声はかのロッキーことシルベスター・スタローンが当てています。
監督が「あなたをイメージしてキャラを作りました」と打診して、一発OKだったらしいのだけど、スタローン的に、このイメージでいいのか!?
ブラッドスポート(イドリスエルバ)
スクワッドのリーダー。
気の狂った父親の指導の下、 あらゆる武器を使いこなし、敵を一瞬で屠るキリングマシーンとして育てられた。かのスーパーマンも彼のスナイプで瀕死になったという前科もち。
冷静沈着、娘思い。
そして、この役を演じるイドリスエルバさんの、なにかを物語るような表情や視線がとてもいい味わい。
マーベル映画「マイティ・ソー」で神の国の門番をやっていたというと、知っている人もいるはず。
ピースメイカー(ジョン・シナ)
アゴの割れたムキムキマン、それがピースメイカーだ!
彼もブラッドスポートのようにキリングマシンとして育てられたヒストリーをお持ちな上に、 早朝はブリーフ一丁で歩き回る変態ナイスガイ 。
「正義のためなら女子供でも撃つ」という、倫理的に完全破綻しているところも、この映画ならでは。
映画のテーマでもある「政府にとって都合の悪いことを、悪人を使って闇に葬る”大国の闇”」を体現しているキャラでもあります。
さらにいうと、この役者であるジョン・シナさんが良い! それもそのはず、彼はWWEのプロレスラー。いい感じの表情とちょっと野暮ったい動きなど、とにかく味が濃いのです。
ラットキャッチャー2(ダニエラ・メルキオール)
父から受け継いだ「ネズミを操る道具」で町中のネズミたちを操作しちゃう女の子。
相棒のネズミ・セバスチャンとアメリカに入国したところ、なんやかんや因縁をつけられて罪人に。
そして寝起きがすっごい悪いというか、ほぼ寝ている寝ぼけ女子だ。
でも、カワイイので「チューもく」ですよ! ネズミだけにね!(どや顔)
あ、ちなみにラットキャッチャー1はいませんからご安心を。
リック・フラッグ(ジョエル・キナマン)
トリはこの人、フラッグさん。
正義感に篤く、悪党といえどもみなをまとめて作戦を遂行させようとする元軍人。とってもいい人だが、すんげえ普通の人だ!
どうしようもないボンクラどもをまとめ上げる手腕はすごいの一言。
でも、普通の人。
ゆえに周りのキャラに食われがちだ。
■ 「死ぬほど」欲しい! 自由ってこういうことだろ!
さて、懲役が人生を大きく超える彼らにとって、牢獄からの「自由」は喉から手が出るほど欲しいもの…。
この映画には、そんな彼らが「ひとときの自由」を得るシーンがあるのですが…この場面が個人的にすっごいエモくって大好きなので、みんな見て!(文章破綻)
そのシーンは、酒場でターゲットを待つミッションのシーン。
みんなでテーブルに着き
「一杯だけだぞ。乾杯だ」
と言って、お酒を飲む。
その時の彼らがね、
…うまそうに、本当にうまそうに酒を飲むんだよ。
もうね、最高!
だってこいつら、昨日までお互い全く知らないやつらなんですよ。
それが今、ひと時の自由を満喫して、歌い、笑い、踊ってる。
それがなんだかグッと来るんです。 ああ、これが自由ってことなんだな。と、彼らの姿から逆説的に伝わるんです。
このシーン、個人的にはかなりベストなエモみのあるシーンなので、皆さんぜひ注目を!
■ 「カイジュー」もでてくるよ♪
そしてなんやかんやあって、スーサイドスクワッドのメンバーが対峙するのが… 宇宙からきたスターロ大王様です!
その大きさは、たぶん30メートルくらい。
ヒトデに目がついたような、その恐ろしい姿は……
恐ろしい…
って、なんだかけっこうかわいいぞ!?
上映中は
「演出が日本の怪獣映画っぽいなあ」…とか、「大王の動きも着ぐるみっぽい気がする…!」なんて見ていたのだけど、
監督もその狙いがあったらしく、
怪獣はCGで、中に人が入っているような動きを目指し、
大王の登場時にはウルトラマンばりに白抜き文字で「スターロ大王」とのテロップが乗ります。
イカス!
で、大王は街の人々の意識を乗っ取り「この国は我々のものだ!」と勝利宣言。スクワッドは大王を撃退できるのか!?
…なんだか途中から、お話の目的が変わっている解説をしていますが…
劇場で ぜひ 、怪獣と対峙する悪人どもを応援してください!
■ 無視できない、そこに「ある」という重み。
映画のクライマックス、悪人たちが突入した国は、未曽有の危機に直面します(主にヒトデ型の大王のせいで)。
倒壊する施設、逃げ惑う市民たち。
しかしスクワッドの司令官からは「作戦とは無関係だ。直ちに帰還せよ」 と、撤退命令が下されます。
悪人たちを「使い捨てる」ことで政府の失策も、ここでの騒動も「なかった」ことにしたい大国。
しかし、そんな権力者の思惑にNOを突きつけ、スクワッドは巨大怪獣の方へと走っていきます。
映画の中では、こんなセリフが出てきます。
「 ネズミは、俺たちとおんなじで、この社会の底辺にいる嫌われものだ。
でも、ちゃんと生きてる。」
グッと来た。
いくら嫌われ者だって、存在しているものは無視できないし、否定できない。一生懸命生きて、そこに存在するものを誰かが「いなかったこと」なんてできないよね。
そして、そんなスクワッド=嫌われ者たちが、世界を救うという英雄譚…!
ただ単に、派手でグロテスクで露悪的なのではなく、根底には弱者に対する暖かな視線がある…。
それが監督・ジェームスガンの、信用できるところだと思うんです。
さて、駆け足でご紹介した「ザ・スーサイドスクワッド~極悪人集結~」ですが、実はこの前身となる作品がございます。
さかのぼること5年前、2016年に同タイトル「スーサイド・スクワッド」が発表されました。監督はデビット・エアー。
監督は「渾身の作品だった」と言っているのですが、
作品の雰囲気は、DC特有の「暗くて重い」イメージの作品に仕上がっていたっぽいです。
しかし当時は、皮肉にもジェームズ・ガン監督のマーベル作品「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」のような「ポップで明るく、アガる」作品に人気が出ていたころ。
ワーナーの上層部は「こんな暗くて重い話じゃなくて、こんな感じにしなさい」と、この映画のポップなCMを作った編集者リー・スミスさんへと編集権を移行しちゃいまして、全く別の作品が出来上がったのでした。
しかも、それで作品が面白くなったなら、よかったんだけど…
あんまり面白くなかったんですよ。
見に行った人はみんな、
「ああ!キャラはいいのに
ハーレイクインは可愛いのに!」
と、キャラだけを絶賛。
ハーレイだけが単独で活躍する映画が、スピンアウトで2本もできる結果になりました。
そして数年前。ジェームズ・ガン監督の過去のTwitter発言が掘り返されて ディズニーを首になり、それを拾ったのがライバルのワーナーでした。
ワーナーから「DCヒーローで好きな映画を作ってよ。」とガン監督は白紙委任状を渡され、作ったのがこの「ザ・スーサイドスクワッド」のリブートです。
ガン監督は前作のエアー監督の「素晴らしいキャスト選び」を評価して、主なキャラクターはそのまま続投。
そしてエンドクレジットにも、スペシャルサンクスとしてエアー監督の名前があげあれている(ようです。みつけられんかった)。
と、本作品はそんな経緯で出来上がったものなのでした。
ちなみに、前監督のデビッド・エアーは、今回の「スクワッド」公開を機に、自分が作った「エアーカット版」の公開を再び求めているという動きもあります。
ニュースサイトなどでは「公開はされないだろう」という見方もありますが、もしみられるなら、自分も見たいなあと思ってます。
エアー監督のメッセージを翻訳してくれたサイトはこちら。
最後に「スーサイド・スクワッド」見たよ! よかったよ、という方に、もう一本見ていただきたい、ガン監督のヒーロー作品があります。
それは「スーパー!」という映画です。
正直者ゆえに追い詰められた主人公が、自警団的にヒーロー活動を行い、評価され、そして大変な事態になっていく…という物語。
内容は、見た後に1週間くらい引きずることになるかもしれないほど、切ないというか、そんな内容なのですが、個人的に大好きな1本です。
この映画で感じた、監督の暖かな視線は、「スクワッド」でも変わらないな、と思ったのでした。
以上、「ザ・スーサイドスクワッド」ひねくれレビューでした!
それではまた次回、面白い映画の話をしましょう。
『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結 』公式サイト 2021年製作/132分/R15+/アメリカ 原題:The Suicide Squad 監督: ジェームズ・ガン CAST:ハーレイ・クイン役:マーゴット・ロビー、ブラッドスポート役:イドリス・エルバ、キング・シャーク(声)シルベスター・スタローン、ラットキャッチャー2役:ダニエラ・メルヒオール、ピースメイカー役:ジョン・シナ ほか
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