ガンズアキンボ

レプラコーンWakaです。こんにちは!  ひねくれ映画レビュー、 今回は『GUNS AKIMBO(ガンズ・アキンボ) 』。ハリーポッターでおなじみのダニエル・ラドクリフが主演です。

本作は、ちょっと血が多めのアクション+コメディ。

マンガのようなガンアクション、突飛なキャラクター、ゲームのような画面演出と、ポップで楽しい、肩の力を抜いて観られる一品です。

ちなみに、タイトルの「この映画は21世紀の『ファイトクラブ』だ」については、続く記事を読んでくださいね。

『ガンズ・アキンボ』
<おすすめ度>
主人公必死度  ★★★★★ 
ライバル強すぎ度★★★★★  

【ストーリー】ラドクリフ、クズになる

ラドクリフ演じるマイルズは、ゲームプログラマー。といっても、ガチャばっかりなスマホアプリの製作者で、日々、体育会系な上司にパワハラをうけています。

そんな彼が毎日欠かさず行っているのは「ネットの荒らし行為」。仕事中もクソリプをバンバン書いて、サイトを炎上させています。正直、ちょっと感じ悪いね!

ある日 彼が見つけたのが、殺し合いの生中継を行っている 闇サイト「スキズム」。 マイルズは酒に酔った勢いでクソリプを連投し、運営の怒りを買ってしまうのでした…!

酔いがさめ、気が付くとマイルズはゲームのような地下室に捕らえられ、雑な改造手術を受けてしまう。なんと両手に2丁拳銃が取り付けられてしまうのでした…!

アキンボスタイル
画像は公式サイトより

スキズムの運営は言う「24時間以内にランキング1位の選手・ニックスを倒したら銃を外してやる」

ニックス

マンガみたいに強いニックス

かくして、生き残りをかけた「スキズム」での戦いが始まるのでした。


■カッコよくないガンファイター

パジャマ姿に動物スリッパ、両手に銃、ポケットにスマホ。

ニックスの猛攻から、命からがら逃げだすマイルズは、正直格好悪い。

マイルズ

両手に銃がついているため、ドアもなかなか開けられないし、薬を飲むのもひと苦労です。

「食べさせてくれだって? パンツをはかせてやったろう。自分のことは自分でやりな」

これは、助けを求めたホームレスから投げかけられた言葉です。

彼の助けを借り、やっとズボンを履くことができたマイルズ。食事も手伝ってもらおうと安易に頼んだ結果、地面に放り出されたホットドッグを食らうことになります。

昨日までクソリプで相手していた世界は消え去り、マイルズは、改めて生きることと向き合います。

ちょっとだけ、主人公の成長が見える好きなシーンです。

ちなみに、ここで出てくるホームレス役のリス・ダービーはめっちゃいい顔で、ただものじゃない感が抜群。彼の演技を見ているだけでも楽しくなってきますよ!

リス・ダービー
スクリーンオンラインより


■「大切なもの」のために絞りだす、ひとかけらの勇気

マイルズは、ぐうたらだし、口ばっかりだったし、コメント荒らしだし、ずっと逃げてるし…とにかくダメダメだけれど、銃で撃たれた警官を気遣うような「いいやつ」だ。

そんな彼だが、元・恋人が運営にさらわれたと知り、助けに行こうと奮起する。

このキャラクターが受けたのか、スキズムの視聴者も次第に彼を応援し始める。銃で撃たれた時は「いい奴だったのに!」と嘆く視聴者もいたし、最後の戦いでは世界中から応援のエールが飛ぶ。彼の任期は急上昇し、過去最高の視聴数をたたき出す。

でも、この視聴者とはいったいなんなのか…?

■何も変わらない世界でどう生きるかということ。

冒頭で「この映画は21世紀のファイトクラブだ」と書きました。『ファイトクラブ』は、戦いの中で「生きているリアルさ」を取り戻す内省的なお話でした。ラストシーンは破壊的でありながらも美しく、主人公たちの「納得」でお話が閉じられます。

一方、『ガンズ・アキンボ』はどうでしょうか。

クソリプしていた生活から、戦いを経て「生きるリアルさ」を理解したマイルズ。彼は称賛を得て英雄となりますが、世界は変わらず、相変わらずクソリプを垂れる視聴者は多く、それまでと変わらない世界がそこにあります。

マイルズが多くを失い、手に入れたものはたったひとつ。「生きること=戦うこと」。

ただの視聴者に戻れない彼の戦いは、どこに向かうのか……?

この結末のもにょっとした感じ……皆さんにも感じてほしいところです。


と、ここまで書いてておいて申し訳ないのですが、この作品

「そこまで深く考えないで作ったから、気楽に見てね!」

という公式からのお話もありまして、

自分のこの記事は、考え過ぎなのかもしれませんが…このモヤモヤをみなさんにも感じてほしいから、たくさんの人に観てほしいね!

『ガンズ・アキンボ』公式サイト 
2019年製作/98分/R15+/イギリス・ドイツ・ニュージーランド合作
監督:ジェイソン・レイ・ハウデン
CAST:マイルズ役 ダニエル・ラドクリフ ほか